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脂質異常症
脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質のバランスが崩れる病気です。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、悪玉コレステロール（LDLコレステロール）が高いだけでなく、善玉コレステロール（HDLコレステロール）が低い場合も問題となるため、現在では「脂質異常症」という名称が使われています。
この状態を放置すると、血管の壁に脂質がたまり、動脈硬化を進行させて、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めてしまいます。
脂質異常症は、主に以下の3つのタイプに分けられます。
脂質異常症の主な原因は、生活習慣と遺伝に分けられます。
家族に脂質異常症の方がいる場合、体質的に脂質異常症になりやすいことがあります。これは、コレステロールの代謝に関わる遺伝子の影響を受けるためです。
脂質異常症は、通常、自覚症状がほとんどありません。そのため、「サイレントキラー（静かなる殺人者）」とも呼ばれます。健康診断などで血液検査を受けなければ、気づかないうちに病気が進行していることがほとんどです。
しかし、病気が進行し、動脈硬化が重度になると、以下のような症状が現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、すでに病気がかなり進行している状態ですので、早期発見・早期治療が重要です。
当院では以下の方法で脂質異常症を診断します。
血液検査では、以下の項目が主な指標となります。
これらの数値が基準値を超えている場合、脂質異常症と診断されます。診断基準は医療機関や学会によって多少異なりますが、一般的には以下の数値が目安となります。
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
|---|---|---|
| 120〜139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
| トリグリセライド（TG） | 150mg/dL以上（空腹時） | 高トリグリセライド血症 |
| 175mg/dL以上（随時） | ||
| Non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
| 150〜169mg/dL | 境界域高non-HDLコレステロール血症 |
脂質異常症の治療は、主に生活習慣の改善と薬物療法の2本柱で行われます。
すべての脂質異常症の治療の基本となります。
食事療法
運動療法
適正体重の維持
生活習慣の改善だけでは目標とする脂質の値に達しない場合や、心筋梗塞や脳卒中の既往があるなど、動脈硬化性疾患のリスクが高い場合には、薬物療法が検討されます。
主な薬剤には以下のようなものがあります。
薬の選択や量は、患者さんの状態や他の病気の有無などを考慮して医師が決定します。自己判断で薬の服用を中止したり、量を変更したりすることは絶対に避けてください。
脂質異常症の予防は、発症前から生活習慣に気を付けることが最も重要です。
脂質異常症は、適切な管理によって動脈硬化の進行を抑え、将来の重篤な疾患を予防できる病気です。ご自身の健康のためにも、ぜひ一度、脂質の値を確認し、必要に応じて医療機関を受診してください。
当院では、脂質異常症の患者さんに対して、以下の診療を行っております。
脂質異常症を心配される方は、お気軽に当院にご相談ください。