陥没乳頭について
陥没乳頭とは
陥没乳頭は、通常、女性の乳房の乳頭が内側に凹んでしまう状態を指します。この状態は、乳房の中に組織の引きつれや収縮が起こることによって引き起こされます。
乳房内の組織の引っ張りが関係している可能性があります。この引っ張りは、以下のような要因によって引き起こされる可能性があります。
- 先天的な構造上の問題
- 乳腺線維症
- 乳頭腫
- 乳癌
- 乳房外傷
陥没乳頭があっても、症状を引き起こさない場合は必ずしも治療が必要ではありません。ただし、痛みや乳頭の出血、分泌物などの異常がある場合は、早期に診察を行う必要があります。必要に応じて検査や画像診断を行い、病気の原因を特定し、適切な治療を行っていくこととなります。
陥没乳頭の疫学については、正確な発生率が明確になっているわけではありませんが、以下のような特徴が報告されています。
- 女性の場合、乳房の形態によって陥没乳頭が生じる傾向があるとされています。例えば、乳房が小さい、もしくは下垂している場合には、陥没乳頭が多く見られます。
- 陥没乳頭は、思春期後半から出産後にかけての女性に多く見られるとされています。
- 乳房疾患を有する女性において、陥没乳頭の発生率が高くなる傾向があるとされています。
- 陥没乳頭は、一部の男性にも見られることがありますが、女性に比べると発生率は低いとされています。
陥没乳頭は、上述の通り機能的な問題を引き起こす場合があり、その場合は早期に対処する必要があります。乳房の健康については、適切な自己検診を行い、少しでも異常を感じた場合は適切な診療を受けることが大切です。
陥没乳頭の治療
陥没乳頭の治療方法は、大きく分けると以下のようなものがあります。
保存的治療
まずは、保守的な治療法が行われます。母乳育児中の場合には、乳首を保護するために乳輪の周りに乳頭保護具を使用することがあります。また、乳房マッサージや、乳首を刺激する運動などを行うことで、陥没乳頭が改善することがあります。
外科的治療
保守的治療が効果的でない場合には、外科的治療が必要になります。陥没乳頭を引き起こしている乳管の処理を行います。この手術は、麻酔下で行われ、約30分から1時間程度で終わります。
その他
乳房形成術
陥没乳頭が乳房形成に影響を与える場合には、乳房形成術が行われることがあります。乳頭の位置を移動させることで、乳房の形状を改善することができます。また、乳癌などにより乳房全体を摘出する乳房切除手術を受けた女性において、陥没乳頭を改善するために乳頭再建術が行われることがあります。
陥没乳頭の治療方法には、個人に合わせた適切な方法が選ばれます。適切な評価に基づいて治療方針を決定する必要があります。
陥没乳頭の手術について
陥没乳頭に対する手術は、通常は症状が重い場合に行われます。具体的には、以下のような場合に手術が適用されることがあります。
- 乳頭が慢性的に陥没しており、機能的な問題が生じている場合
- 乳頭に痛みや不快感がある場合
- 乳頭から分泌物が出る場合
- 乳頭周囲に炎症が生じている場合
手術の方法としては、乳頭周囲に切開を行い、乳頭を引き出す方法が一般的です。
陥没乳頭の手術は、治療が必要な場合には健康保険の適用対象になる場合があります。ただし、保険適用には条件があります。
保険適用の条件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 授乳ができないなど、機能的な問題が生じている場合
- 病理学的検査により、乳頭内に異常が確認された場合
- 炎症を繰り返している場合
これらの条件を満たす場合、手術費用の一部が健康保険でカバーされる可能性があります。
保険で手術を受けられるケースもあるため、上記のような症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
陥没乳頭の手術には、いくつかの方法がありますが、代表的な方法としては以下のようなものがあります。
乳頭周囲に切開を行い、乳頭を引き出す方法
この方法は、陥没乳頭を改善し、乳頭の形を自然な状態に戻すことができます。手術は局所麻酔下で行われ、通常は30分から1時間程度で終了します。
具体的な手順としては、まず乳頭周囲に局所麻酔を行い、その後、乳頭周囲の皮膚を切開して乳頭を露出させます。その後、乳頭の下にある線維組織を縫合することで、乳頭を引き出すことができます。引き出した乳頭が後戻りしないよう皮弁術を加えることが多いです。手術後は、しばらくの間、絆創膏や包帯で保護する必要があります。また、手術後に痛みや腫れ、出血が生じることがありますが、通常は軽度で、数日から数週間で治まります。手術にはリスクが伴うため、必ず医師の指示に従って適切な処置を受けるようにしましょう。
乳頭周囲の組織を切り取り、乳頭を再建する方法
この方法は、乳頭が損傷している場合や、陥没乳頭の原因が乳頭周囲の組織の欠損にある場合に行われます。具体的な手順としては、まず乳頭周囲の組織を切り取り、その後、別の部位から皮膚や組織を取り出して、乳頭を再建します。手術後は、しばらくの間、絆創膏や包帯で保護する必要があります。
手術後には、軽度の痛みや腫れ、出血が生じることがありますが、通常は数日から数週間で治まります。術後のケアも合併症予防に大切になります。
最後に
陥没乳頭は「治療できると思っていなかった」「長年悩んでいた」「感染を繰り返して痛みが強く困っていた」「授乳に差し支えていた」等のお声が多く聞かれます。お困りの方は是非お気軽にご相談いただければと思います。